日経新聞に掲載されていた「学び×コロナ時代の仕事論」という一橋大学の楠木建教授のコラムを読んだ。
この10年ほどでよく使われるようになったフレーズに「イラッとする」があるといい、これは「大人の幼児化」を象徴しているという。
現代の15歳といえばまだまだ子供だが、大昔は15歳ともなれば大人として扱われていた。大昔と現代では生存環境も異なるし、昔は平均寿命も短い。平均寿命が短いから人生がその分凝縮されて、自然と早くから大人にならざるを得なかったのかもしれない。一方、現代は寿命が延びた分、子供でいる期間が長くなり、これが大人の幼児化をもたらしているような気がする。
この「幼児性」の中身は3つあるという。
まず、世の中に対する基本的な認識で、子供は身の回りのことがすべて自分の思い通りになるという前提で生きていること。現実は思い通りになることはほとんどないが、自分の思い通りにならないからイラッとする。
次に、個人の「好き嫌い」の問題を勝手に「良し悪し」にすり替えて批判したり意見したりすること。ちょっと考えが合わない人にもすぐイラッとしてしまう。
そして、他人のことに関心を持ちすぎること。自分のなかに不満や不足を感じていて、それを埋めるため他人の欠点や問題をみつけて鬱憤を晴らそうとする。
他人のことに関心を持ちすぎることは他人との比較になり、それは嫉妬に結び付く。子供がイラッとするのも突き詰めれば嫉妬であることが少なくない。
逆に言えば、「大人」というのは上記の「幼児性」が薄い人のことだ。
世の中は思い通りにならず、様々な人がいることで世の中が成り立っていることを知っており、他人との比較で評価しない人を「大人」という。
人は人、自分は自分。
あえて比較するなら過去の自分だと思う。
投資についても他人との比較ではなく、着実に自分の資産が増えているのかどうか、自分のしてきたことについてどう自分で評価するかが大事なのだろう。