シャープ、東芝と電機大手が相次いで苦境にあるなか、今度はパイオニアが投資ファンドに買収されることになった。
パイオニアといえばかつてオーディオ機器に定評があり、最近ではカーナビが主力事業となっている。だがスマートフォンが普及するにつれてカーナビ事業が振るわなくなった。業績を見ると売上高は下降線を辿り、営業キャッシュフローも年々減っている。稼ぐ力がなくなり資金繰りが難しくなりつつあることがわかり、典型的な衰退企業となってしまった。
だが、こんな衰退企業に資金を出す投資ファンドの狙いは何なのかを調べると、パイオニアの子会社でインクリメント・ピーという会社にあるらしい。インクリメントは地図のデータベースを扱っており、これが今後の自動運転技術に必要不可欠となるとみているのだ。パイオニア本体が必要ないとみればインクリメントを引き離して切り売りすることになるかもしれない。
地図データというのは確かに大きな蓄積資産だろう。紙の地図からデジタルに変わっても地図データが不要となることはない。しかも地図データは常に更新し続けなければならず、そのノウハウは容易に手に入らない。
地図データを扱う会社といえばゼンリンだ。ゼンリンの業績や財務内容をみてみると着実に業績を伸ばしている。ROEはそれほど高いとはいえないが徐々に上がってきていて、営業キャッシュフローは年々増加傾向にあり着実に稼いでいることがわかる。今後も地図データという資産は重要性を増してくるだろうから、さらなる好業績も期待できる。予想PERは38倍だがこの水準は割高だといえるだろうか。
だけどこういう蓄積した情報資産を持っている企業は衰退しにくいだろう。もちろん有効活用していなければ宝の持ち腐れとなる。
こういう蓄積した情報資産をもつ企業を探すのも面白い。例えば気象情報を扱うウェザーニューズもそんな企業だと私は思っている。そんなわけで100株だけど保有し続けている。