株式投資をする際、チャートの動きから株価を予想して判断材料とすることはない。チャートの動きで将来は予想できないと思っているからだ。
先週と今日の日経新聞記事を読み比べると、そのバカバカしさがよくわかる。
先週9日の日経新聞朝刊マーケット欄に以下のような記事があった。
”株、上放れサイン点灯か
移動平均線、変動を示唆
相場が上放れる前兆ではないか――。日経平均株価のトレンドを表す「移動平均線」の動きに市場の注目が集まっている。3つの平均線と現値が同じ水準に収れんしてきたためで、その直後に相場が大きく動くことが多い。過去2年は急騰をぴたりと当てた。相場には膠着感が強まっているが、チャート上には近い株高を示唆するサインがともっている。
ー中略ー
チャートの移動平均線も膠着感を映す。8日の日経平均終値は2万2644円で、25日、75日、200日平均も2万2400円前後に収束しつつある。移動平均線から現値のかい離率は株価の割高・割安を測る指標となるが、同水準に収れんするのは相場の方向感が消えたことを示す。
ただし過去の経験則ではこの状態は近く相場が大きく動き出す前兆。過去2年のチャートを検証すると、移動平均線が同水準に収束したのは2016年10月と17年9月。いずれもその直後から株価は急騰した。”
そしてこの記事では、急騰したきっかけが選挙だったことを指摘し、今年も9月に自民党の総裁選、11月に米中間選挙があるから上昇するのではないか、としてチャートの図とともに解説している。
さらに記事では、以下のようになっている。
”仮に株が上昇した場合の上値のメドはどこなのか。みずほ証券の中村克彦氏は年初からのチャートで形成された「三角持ち合い」に注目する。相場がもみ合う中で上値が徐々に切り下がる一方、下値が切り上がる現象を指し「経験則としてもみ合いの振れ幅の最大値が上昇幅の目安」という。
今回の振れ幅の最大値は1月23日につけた高値(2万4124円)から3月23日につけた安値(2万0617円)の差である3507円だ。仮に2万2300円を上放れの起点と考えれば、上値のメドは2万5807円になる計算だ。”
もっともらしくいろいろ言っているが、私には単なる占いとしか思えない。
そして最後はこう結んでいる。
”もちろん今後のイベントの結果次第では相場が下放れる可能性もあり、9日に始まる日米貿易協議(FFR)は要注意だ。だが大和証券の市場部門幹部は「米国が主導し世界でリスクオンの雰囲気が強まっている」と話す。今は相場下落への備えよりも「買い遅れるリスク」への目配りが必要な局面かもしれない。”
要は、「上昇する可能性が高いんじゃないの」といっているわけだ。
そして今日の日経新聞朝刊には以下のような記事があった。
”チャート&データ 200日移動平均線、下落に転換か
日経平均株価の長期トレンドが転換点を迎えている。日経平均は10日に長期の相場の方向性を示す200日移動平均線を下回った。その後下回ったまま推移しており、来週にも約1年9カ月ぶりに200日線が下落に転じる可能性がある。
200日線は日経平均が上回っている局面では下値のメドになる一方、下回ると上値のメドと意識される。200日線の方向も重要。7月上旬に日経平均が200日線を数日間下回って推移していたが、その際は200日線が上向いていたため、市場には「相場の長期トレンドは変わらない」との安心感があった。
仮に日経平均が今後横ばい圏で推移すれば、200日移動平均は23日前後をピークに下落に転じる計算だ。200日線が上昇トレンドを維持するには「2万3000円への回復が必要だが、ハードルは高いだろう」(みずほ証券の三浦豊氏)との声もあり、調整局面入りへの警戒が必要だ。
先週は上昇する可能性が高いと言っていたのに、今日は下落に警戒となっている。結局、その場その場の雰囲気からそれらしい理屈をつけて説明しているにすぎない。
でもこういう説明を欲しがる人がいるのも確かなのだろう。
占いを信じるかどうかはその人の自由だ。
私は信じないけど。