投資狂日記

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歴史から学ぶこと

先日本棚の整理をしていて「武士の家計簿」という新書に目がとまりました。映画化もされてそのときはちょっとした話題にもなりました。

この本の内容は、加賀藩御算用者であった猪山家の家計簿をもとに幕末から明治・大正にかけて武士・士族がどのような日常生活をおくったのかを描いています。
著者によれば、幕末から明治・大正の時点で、金融破綻、地価下落、リストラ、教育問題、利権と収賄報道被害など現在の我々が直面しているような問題をすべて経験していた、といいます。

たしかに幕末から明治維新にかけては当時の人々にとっては凄まじい社会経済変動だったでしょう。

そんななか懸命に生きた家族の歴史に触れると、これから将来起こりうる社会経済変動にどう対応していくかを考えさせられます。

そしてこの本のあとがきがとても心に残るのです。その部分を引用します。


私はというと、猪山家の人々から、大切なことを教えてもらったように思う。大きな社会変動のある時代には、「今いる組織の外に出ても、必要とされる技術や能力をもっているか」が人の死活をわける。かつて家柄を誇った士族たちの多くは、過去をなつかしみ、現状に不平をいい、そして将来を不安がった。彼らに未来はきていない。栄光の加賀藩とともに美しく沈んでいったのである。一方、自分の現状をなげくより、自分の現行をなげき、社会に役立つ技術を身に付けようとした士族には、未来がきた。私は歴史家として、激動を生きたこの家族の物語を書き終え、人にも自分にも、このことだけは確信をもって静かにいえる。恐れず、まっとうなことをすれば、よいのである・・・・・・。
(磯田道史著「武士の家計簿」あとがきより引用)


少子高齢化、人口減少、財政赤字、景気低迷、エネルギー、そして社会保障と今後大きな社会変動に巻き込まれることにばるでしょう。

歴史から学ぶことはとても多いです。